写真家 三嶋明歩が観る”大潟村”という世界

食と、東北と、編集長

佐藤仁

はじめに

本プロジェクトは、三留 慎太郎(株式会社大潟村同友会)三嶋 明歩(写真家)、佐藤 仁(食と、東北と、)の3名が、目的「秋田県大潟村における農業の魅力を発信し、多くの方々に興味を持ってもらうこと。また、本活動を通して生産者が抱える後継者不足等の課題解決に貢献すること」に向かって1年間さまざまな活動を行う…という取り組みです(概要についてはこちらをご覧ください)。
食と、東北と、では、今年度5回の記事制作を通してその魅力を発信していきます。

第四回目のタイトルは「写真家 三嶋明歩が観る”大潟村”という世界」です。

秋田出身の写真家である彼女がファインダー越しにみる”大潟村”は一体どのようなものなのか?
その想いや感性を、今回はお届けしたいと思います。

三嶋明歩

三嶋 明歩 / みしま あきほ

1995年生まれ

秋田県八郎潟町出身

秋田南高校→東北学院大学卒業(民俗学専攻)

大学在学中より、風景写真をはじめる。
大学卒業後、写真屋で2年勤務。
その後、仙台の広告撮影会社に入社。ストックフォト・ムービー制作撮影ディレクション、webデザイン、グラフィックデザインなど幅広く担当。
2021年柴田町観光アンバサダーに就任。
2023年よりフリーの写真家として活動をはじめる。

プロジェクトでは、ZINE制作と写真撮影を担当。

ZINE制作への想い ”何もないこともない”をカタチに

わたしが秋田に帰ってきたときに必ずすることがある。
 父と一緒に田んぼ道を歩くことだ。
春は道路に泥が落ちて、夏はカエルの大合唱、秋は黄金の絨毯が広がって、
冬はしんと静かになる。そんな道が大好きだ。
秋田には当たり前に、何処にでもそんな風景が広がっている。
でも、もし、誰も何もしていなかったら。
もしかしたら、何も植わっていない田畑が増え、
寂しい風景になっていくのかもしれない。
わたしの大好きな風景は、そこで生活している人、働いている人、
いろんな人の営みと共にある。
つまり、それは “何にもないこともない”のではないか。
大好きな風景の記録し、そして”あるもの”に目を向けていきたいと思う。

三嶋明歩

ZINE

ZINEとは

ZINEは、実際に地方・企業との連帯例もあり、

・秋田県「のんびり」…観光プロモーション「あきたびじょん」のイメージアップとして

・東京都「とりつじん」…都立大学商店街が商店街を活性化するためにおこなったプロジェクト。商店街で働く人の魅力を似顔絵で紹介。

・トーチファーム(山梨県農家)「こわい」…畑まるごと、農業そのものへの興味を引けるようなZINEを制作。宅配野菜ご注文の方に年4回、季節ごとにお届け。

などが挙げられます。

本プロジェクトにおけるZINE

今回は三嶋明歩が中心となり、ZINEの制作を0からスタート。

タイトル、コンセプト、企画などすべて自らがプロデュースして制作活動を実施。

また、ZINE制作で使用する写真は、三嶋自らが現地に足を運んで撮影。

関係者とのコミュニケーションをとることで、その地域の”本当”の姿が見えてきます。

「撮影」と私

「撮影はコミュニケーション」

わたしが撮影時に大切にしていることは被写体の方とたくさん話すこと、コミュニケーションをとることです。

撮影は一種のコミュニケーションだと思っていて、相手のことを知らないと、なんとなく表面的な写真に感じます。
写真は撮ってしまえば一瞬のものですが、撮影するまで、いろんな過程を経て1枚の写真になっていますよね。そこも好きなので、それが滲み出すような写真が撮りたいなと思います。贅沢な話ですけど。

何度も何度もその方(被写体)と言葉や時間を重ねることで、出てくる素や人間性。
それがわたしが本当に撮影したい”姿”です。
人の心の奥に隠れているものというか、「あれ、こんな一面もあったんだな」って気付きもあるような、そんなものを撮り続けていきたいなって思います。

「これから」と私

このプロジェクトを通して伝えたいこと

私はこのプロジェクトを通して「地元の感じ方」について伝えたいなと思っています。

私は秋田県の八郎潟町出身。現在は仙台市在住で、仙台と秋田を行き来するような生活を送っています。まぁいわゆる”田舎”出身で、秋田に帰ると「当たり前の景色」「いつも見る景色」が広がっています。

でもこれって実は自分の「感じ方」がそうなっているだけだって、ある時気づいたんですよね。
ずっとその場所にいるから「当たり前」になっているだけで、実は「当たり前」じゃない。

秋田ってよく何もないって言われます。でも、それは自分の価値観の中で「何もない」と思い込んでいるだけで、実は多様な価値観を意識して接してみると、「何かある」になったり「たくさんある」になったりします。
これは正しい、正しくないの問題ではありません。自分がネガティブにとらえていることも、実はそうじゃないかもしれない、そういう感じ方もあるっていう話です。
ある1つの価値観にとらわれず、いろいろな価値観を意識してみると、地元に対する感じ方は違ってくると思います。

このプロジェクトを通して、秋田は「何もない」ことはないと思う…ってことを伝えたいなぁと。

私の夢

最近、個人で撮影会企画を実施しています。

写真を撮影する人、したい人は世の中にたくさんいる(と思う)のですが、孤独になることが多い気がします。
撮影して、SNSに上げて、バズってる写真と比較して落ち込んだりして、結局写真辞めちゃって…とか。
それはそれでいいかもしれないですが、私は

「正解がないのが写真」

なのかなと。
いろいろな人と関わると、違う写真の撮り方を学べたり、自分とは違う感じ方を学べたりします。
もっと楽しんで写真撮影ができる「場」をつくり、提供する。
これからそんなことにもどんどんチャレンジしていきたいと思います。

最後にメッセージ(宣伝)

企業向けのみならず、個人向けの出張撮影も受け付けています!
興味のある方はぜひSNS等で気軽にお声がけください。
また、撮りためた日常のスナップ写真のポストカードやカレンダー等、グッズも準備中です。こちらもSNSでお知らせとなりますので、フォローしてお待ちいただけると幸いです。