食と、東北と、編集長
佐藤仁
本記事は東北地方へ移住を検討している方向けの記事となります。「東北地方の生活って実際どうなの?」「田舎暮らしに憧れているけれど実際のところは?」と疑問に思っている方にぜひ読んでいただきたい内容となっております。
私は東北6県のうち3県5市町村に長期在住経験があり、短期間(1〜2週間)の在住経験や短日での旅行等含めると、もはや数えきれないほど東北各地に足を運んでいます。
東北暮らし体験レポシリーズは、そんな私が実際にその地で生活しながら思ったこと、感じたことをリアルに書いている体験レポートとなります。同じ「東北地方」という括りであっても、その地域によって大きく生活スタイルは異なりますし、また憧れの気持ちだけではどうしようもならないリアルな厳しさもなくはありません。
東北移住を検討している方、ぼんやりと”田舎”や”東北”っていいなと思っている方は移住前に、実際に住んでいる人の話をよく聞いたり、現地に伺って自分の身肌でその環境が合うかどうかを体験してくることをお勧めします。そんな情報源の1つとして、本記事をご覧いただければと思います。
※今回の東北暮らし体験レポは第2回目となります。第1回目はこちら▼
私は2020年11月から2021年10月の約1年間、青森県五所川原市に住んでいました。
以下、五所川原市公式ホームページより引用です。
西は日本海に面し、東部および北部には中山山脈が連なっています。
白神山地を水源として、十三湖を経て日本海に注ぐ一級河川岩木川により広大な津軽平野が育まれ、肥沃な穀倉地帯が形成されています。
五所川原市はその津軽平野のほぼ中央に位置しています。
https://www.city.goshogawara.lg.jp/ijuu/goshogawara.html
位置情報はこちら
五所川原市は桜で有名な弘前市の北部に位置する市で、いわゆる津軽地方の文化が深く根付いている地域となります。
五所川原市ホームページには下記の記載があります
五所川原市の年平均気温は10.6℃と冷涼で過ごしやすく、日本海側特有の気候となっています。
春から秋にかけては、台風、梅雨の影響をあまり受けないため降水量は少なく、冬は積雪量が多くなりますが、ウィンタースポーツを楽しめます。
https://www.city.goshogawara.lg.jp/ijuu/goshogawara.html
こちらに記載の通り、夏は冷涼で非常に過ごしやすかった印象があります。
半袖短パンだと夜は肌寒く感じるくらい。また、日本海側ですが、気温が低いからか「夏場の湿度が高くてしんどい…」と感じることもあまりありませんでした。夏は非常に過ごしやすい気候だと思います。
しかし問題は冬。批判する気は全くないのですが、リアルな感想を正直に申し上げると冬場の生活は大変でした。詳しくは後述しますが、雪に慣れていない人にとっては気をつけなければならないことがたくさんあります。
さて、それでは私が思う五所川原市の魅力を書いていきたいと思います。まずはELM(エルム)というショッピングセンターがあること。ELMは五所川原市で最大級のショッピングセンターであり、青森県内でも1,2位を争う規模を誇ります。
特に注目したいことが、その中に入っているテナント。「田舎になぜこんなお店が…」と思わず口にしてしまうほどいろいろなお店が入っておりびっくりさせられます。詳しくは ELMの公式ホームページに記載がありますのでぜひご覧ください。
私は当時ELMから徒歩5分ほどの場所に住んでいたのですが、生活には一切困りませんでした。日用品や娯楽グッズはもちろんですし、スーパーマーケットの最大手であるイトーヨーカドーさんも入っておりますので食品も手に入ります。とにかくあらゆるものがELMですべてそろいますので、生活にはまったく不自由しません。
晴れている日は岩木山がよく見えるのですが、その雄大な存在感に毎度感動させられます。また、東北地方はお米の主要な産地で各地に田んぼが広がっていますが、その中でも津軽地方の田んぼの景色は別格。広く遠くまで広がる景色、また四季で移り変わるその様子は毎日見ていても飽きません。その景色に「あ、秋が近づいているな〜」と気付かされるほどの存在感であり、同時に津軽の風物詩でもあります。
五所川原市には美味しいラーメン屋さんがたくさんあります。各店で特徴は異なりますし、個人的な好みもありますが、美味しい味噌系ラーメンがたくさんあった印象が強いです。
また先ほど紹介したELMの2Fには「津軽ラーメン街道」と称されたラーメン屋が何軒も並ぶフードコートがあり、休日には五所川原市外からわざわざ人が集まるほど。テナントの入れ替えも激しく、ラーメン激戦区となっております。
青森県は大間に代表されるようにマグロで有名な県。それは決して間違いではなく、シーズンになると美味しい天然マグロがスーパーなどにも出回ります。「えええ…スーパーで買ったこの値段のマグロがこんなに美味しいの…?」と幾度も驚かせられました。
また、個人的に驚いたのはうにの美味しさ。「青森県といえばうに」というくらい有名なことは知っていましたが、実際食べてみるとびっくりするほど美味しいです。これまで食べてきたうにはうにではなかったと、青森の生うにを食べて思いました。感動的な甘みと旨みはきっと私の舌に一生残り続けます。それくらい衝撃的に青森のうには美味しいです。時期になるとスーパーでも2000〜4000円ほどで出回るので、ぜひ買って食べてみてください。お値段以上の価値ありです。
冬場の生活は過酷
私が五所川原で生活するにあたって、一番大変だったことが冬の環境。具体的にどんな感じかというと
・降雪量が多い(ただし、青森県内では少ない方らしいです)
・風が強くホワイトアウトは日常茶飯事
・道路凍結がひどく、頻繁に事故が起こる。よくそこらへんの田んぼに車が落ちてる。
・風が強く低温のため、体感温度はさらに低い
といった感じです。特にホワイトアウトについては、私自身非常に怖い思いをした経験が何度もあります。
- 近所の居酒屋に行ってしばらく1人で飲んでいたら外が猛吹雪になってホワイトアウトし帰れなくなった(結局徒歩10分の距離を20分かけてタクシーで帰りました)。
- 会社への出勤時、スリップで車が右に1回転しかけた。
- 津軽自動車道で車が横転しているのを幾度も見かけた。
などなど、私のように雪に慣れていない人にとって、冬はかなり過酷な環境ですので要注意です。ちなみに車へのエンジンスターターの設置はマストです。
津軽弁がわからなさすぎる
雪の次に苦労したことが、津軽弁。東北地方は地方地方によって言葉に訛りがありますが、津軽弁はマジで次元が違いすぎます。よくテレビなんかで「津軽弁はフランス語みたい」と言われたりしますが、本当にそのレベルで話すことも聞き取ることも難しいです。私の場合、例えば
・買い物のお会計時にレジのお姉さんの言葉がわからず何度か聞き返してしまった。
・職場がもはや外国。津軽出身者同士の会話はまったく聞き取れない。
・津軽弁で話しかけられると90%くらいは理解不能。
・仕事のクレーム対応でお客様(80歳くらいのおじいちゃん)の自宅へ伺った際、何を話しているのかまったく理解できず、1時間くらい訳もわからずとにかく怒鳴られ続けた(結局何を伝えたいかわからなかった)。
など、約1年という短い期間でしたが「津軽弁わからないエピソード」がたくさん生まれました。職場の方に教えてもらいながら少しでも早く慣れようと努めましたが、私にはかなりの高難易度クエストでした。
給与水準が低い
五所川原市には仕事の関係で行ったのですが、他地域に比べて給与水準は少し低いかなと思います。ELMの求人募集などを見ても、東北地方の中では低めのような印象を受けました。
以上が五所川原市の暮らし体験レポとなります。五所川原市への移住は
・雪やウィンタースポーツが好きな方
・ラーメンが好きで好きでたまらない方
・言葉の壁が気にならない、津軽弁を習得したい方
こういった方におすすめです。
移住への第一歩はアクションです!この記事があなたの行動のきっかけになると幸いです。