【取材】「食×ドローン」で東北の未来を考えてみた

食と、東北と、編集長

佐藤仁

はじめに

特別企画第一弾!こちらでは、「食」の分野はもちろん、様々な分野で活躍されている方とのコラボ企画等を実施していく予定です。記念すべき第一回目のキーワードは「ドローン」。最近何かと話題のドローン。実際、東北地方では活用されているのか、また食産業では?そんな話をドローン専門家にお伺いしながら、東北の未来について考えてみました。

ゲスト紹介

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今回お話を伺ったのは、秋田のドローン専門家、鎌田さんです。もともと青森県でJUAVACドローンエキスパートアカデミーの講師をされており、その後秋田校のオープニングを担当。現在は秋田校の教官教育を行ったり、秋田市や角館町の分校立ち上げを担当されています。秋田県にドローンを普及していきたいということで、今回お話を伺う機会をいただきました!

JUAVAC ドローンエキスパートアカデミー についてはこちらから▼
[ https://juavac-droneschool.jp ]

JUAVAC ドローンエキスパートアカデミー秋田校(秋田マテリアル株式会社) についてはこちらから▼
[ https://juavac-droneakita.com ]

コロナウイルスと「食」の現状

まずは少し、私の視点で食の現状の話を書きたいと思います。現在コロナウイルスが蔓延し、日本は大変な状況になっています。よくニュースでは医療の現場がピックアップされてますが、実は食品業界にもその影響は出ています。それは「値上げ」です。特に、輸入品の値上げが止まりません。私が取り扱っている水産食品に関して、少し例を挙げて説明します。例えば、日本人の食卓に欠かせない「本マグロ」。
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実は冷凍品については、大部分が輸入品になっています。冷凍マグロの国内輸入は、年に1度らしいのですが、昨年はコロナウイルスが思いの外広がり、「宅飲み」や「家でプチ贅沢」などがトレンドとなり、量販店におけるマグロ需要が大きく上昇してその量が不足し、大幅な値上げとなりました。また、海外の工場がコロナウイルスの影響で停止したこともあり、それに伴う輸入原料の値上げが起き、塩鮭類などは値上げとなりました。

気付かされた「地産地消」の重要性

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そんな状況の元、「はっ」と気付いたことは、「地産地消」の大切さ。コロナウイルスで輸入品が大きな影響を受けている傍ら、国産養殖本マグロや、国産養殖銀鮭(東北地方にある宮城県は国産養殖銀鮭のシェア90%を誇ります!)は価格が安定していました。そんな状況を受け、日本のもの、東北のもの、近くのもの…そういったものをもっと大切にしなければならないなと。「隣のばあちゃんが作ってくれた野菜を食べろ!」までは言いませんが(笑)、「自分たちが食べるものを、自分たちの力でつくって食べる」という地産地消の考え方は、きっと世の中が複雑化していく中で重要になってくるんだろうなと。

話は変わって「ドローン」!

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さて、ここからは少し話題を変えて、鎌田さんからいただいたお話を書きたいと思います。

鎌田さんとドローンの出会い

「職業安定所の求人がきっかけです」その一言に驚いてしまったのですが(笑)、鎌田さんとドローンの出会いは本当に偶然だったそうです。以前は全く違う職種に就いていたそうなのですが、たまたま職安に行く機会があり、たまたまドローン教官の求人を見かけたそうな。「なんかおもしろそう」という勢いで応募したら、受かってしまったそうです(笑)。そこに飛び込んでいく勇気がすごい…。

現在のご活動

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現在鎌田さんは、秋田県でJUAVAC ドローンエキスパートアカデミー秋田校の教官教育をされており、また秋田市・角館町の分校立ち上げも担当しているそうです。その他にも、講演会・講習会をされたり、ドローン減災士として防災に関する活動もされているそうです。また、「ドローンファイト」という、ドローンで風船を割るゲームの手伝いなどもされているとのこと。

ドローンを使うためにはどうすればいいのか…

日本ではドローンに関する法律が定められており、その法律に従ってドローンを使用すれば、特段資格などは必要ないとのこと。しかし、法律を理解し、安全に飛行するためにもドローンスクールに入校する方が確実でしょう。

※2022年6月よりドローンのライセンス制度が施行され、一部業務でライセンスがないとドローンを使用できなくなるそうです。

ドローンに興味のある方はこちらからどうぞ [ https://juavac-droneakita.com ]

「食」と「ドローン」

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さて、そんなドローンが「食」の分野にどう関わっているのか、実用例をお伺いしました。

有名な使い方として挙げられるのが、農薬散布だそうです。お米などに農薬を散布するためにドローンを使う農家さんが増えているそうです。ドローンやAIを使って、効率よく農産物の生産を行うスマート農業を行う方も増えているとのこと。また、魚の養殖場でも、生簀の中に水中ドローンを入れて死んだ魚を早期に発見し、除くことで、生簀内をより良い状態に保っているといった実例があったりするそうです。

また、青森県のナマコの密猟対策としてドローンが用いられている例も。青森県はナマコの生産量が非常に多いですが、その反面、密猟も多いとのこと。その対策として、ドローンのカメラで密漁船を確認したり、ダイバーから出る空気の気泡をドローンのカメラでキャッチして、漁協や警察に連絡するシステムを構築したり…という取り組みが実際になされているとのこと。

これまで、私のドローンに対するイメージとして、「ドローンはいい映像を撮るもの」という認識が強かったのですが、自分の身近な社会でこんなにも実用化されていることを聞き、正直驚きました。慢性的な人手不足の一次産業や食品業界にとって、今後さらに重要になるツールかもしれません。

「食」と「ドローン」と東北の未来について

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さて、それでは最後に、鎌田さんの話を受けて私が考えた「東北の未来」の話を書きたいと思います。

まずは「地産地消」の視点から。先に書いたのですが、私自身、コロナウイルスの影響で「地産地消」ということの重要性に気付かされたわけですが、おそらくそう思っている人は少なくないはず。県外に遊びに行けない、不要な外出は禁止…そのような状況の中で「県外に出るのではなく、地元にいながら小さく楽しく生きていく」という生活スタイルを取られている方は多いはずですし、それに伴い、自分たちで、小さな経済圏の中で生きていくのもおもしろいかもしれない、と思っている方もいるはず。

そこでやはり「地産地消」という考え方は1つ重要なものになってくるかなと。ただ、地産地消が大切といっても、東北にはその実現を妨げるくらいの大きな問題があります。

おそらく、東北地方に住んでいる方は身をもって体感されていると思うのですが、東北地方では「人手不足」「人口減少」「少子高齢化」といった、人手が少ない、若い人が少ないといった問題が、非常に顕著となってきました。地元秋田の漁業を一例を挙げたいのですが、私が地元秋田にいたときに、水産業界の方にあることを聞いて衝撃を受けたことがあります。それは「漁師の若手は70代」ということ。秋田県の漁業における高齢化は非常に深刻で、大きな問題となっています。最近は若い漁師さんがSNSを活用して地元を盛り上げたりと、面白い活動も少しずつ増えてきた印象がありますが、その大きな問題が解決したわけではありません。これは一例であり、きっと各地でこのような問題は起きているはず。

そんな問題がある東北だからこそ、ドローンのような最先端の技術が今必要不可欠なのではないでしょうか。人がいなくなっていく、でも地元で生きていきたい…そういった状況で重要になるのが、ドローンのような最先端技術なのかなと。こういった技術を駆使することで、東北地方の新たな未来が切り開かれていくのではないだろうか…今回の鎌田さんの話を聞いてそう思いました。

「人がいない」を 「人がいないからできない」とするのか「人がいなくてもできる」ようにするのか。きっとこの考え方の分かれ道が、これからの東北の運命を決めるんだと思います。

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