【取材】秋田の架空ラーメン屋「創作料理と拉麺 kakurega」に迫る

食と、東北と、編集長

佐藤仁

架空ラーメン屋「創作料理と拉麺 kakurega」に迫る

みなさま、今回も「食と、東北と、」をご覧いただきありがとうございます。まず初めに、こちらをご覧ください。
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空腹のあなたには少しつらい写真でしたでしょうか…(笑)こちらは、秋田県にある架空ラーメン屋「創作料理と拉麺 kakurega」さんのラーメンです。実は少し“訳アリ”なお店でして…今回はこちらのラーメン屋さんに【初】取材OKをいただきましたので、店主のコメントも交えつつ、その秘密に迫っていこうと思います。

店主
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店主は聖空さんという方。秋田県にお住まいの20代男性で、ラーメンをこよなく愛し、ラーメン食べ歩きもよくするそうです。お肉にも詳しいそうで、ラーメンにのせるチャーシューの品質は特に気を遣うとのこと。今回は聖空さんに、ラーメンづくりに対する想いを伺いました。

聖空さんがラーメンづくりをはじめたきっかけは?
「とあるラーメン屋に行って食べた時に味作りに感動し、こんなラーメン作れるようになりたい・この感動を人に与えられたらどんな感じなんだろう…といった興味本位から始まりました」

聖空さんにとって、ラーメン作りとは?
「自分と自分がこれまで食べてきたラーメン達と向き合う時間だと思っています。どんなラーメンを食べてきて、自分はこういう味を作りたい……など。。未だに目標としている味にはたどり着いてませんが、掲げているコンセプトとしては無化調なのと、二日酔いや体調不良時でもズルズル食べられるラーメンです。これらが大前提!」

特にこだわっていることは?
「チャーシューですね。スープと麺以外にも感動を与えうるものは何か…と考えた際に行き着いた答えがチャーシュー作りを徹底してこだわるということ。作る際は産地・加熱時間・熟成時間…様々考慮しながら作っております。秋田県産の原料を使いたいので、基本的には米っこ桃豚を使用することが多いです!」

提供メニュー
さて、それでは先ほど写真をお見せしましたが、kakuregaさんのメニューを少しだけご紹介!

豚中華そば
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上に乗っているのはチャーシューではなく、トロトロに煮込んだパイカ(豚バラ軟骨)。スープは見た目に反してあっさりしており、優しい味わい。麺は稲庭中華そばを使用。滑らかな喉越しで、スープとよく絡む。

錦牛脂のまぜそば
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秋田県のブランド牛、秋田錦牛の牛脂を使用したまぜそば。トッピングはチャーシューではなく、錦牛の牛すじ。牛単体だとクドくなるため、宗田鰹の粉末と野菜や香辛料で調整。すだちでさっぱりした味わいに変えるのもよし。

塩煮干そば
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豚の出汁×煮干出汁のダブルスープ。下地の昆布で旨味を補強し、豚3:煮干7の比率で調合。これにより、口の中では煮干が踊り、エグ味や苦味は豚で緩和される。塩ダレが煮干の塩味をぎりっとと引き立たせているものの、しょっぱすぎることはなく、バランスの取れた味を保っている。

塩そば
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比内地鶏をベースに親鶏とほんのり鰹が香るスープ。上品すぎず、あー美味しい塩ラーメン…といった仕上がりです。kakuregaの全ての塩ラーメンのベースとなる塩ダレは男鹿の藻塩・沖縄のシママース・瀬戸内海の海塩・オーストラリアの天日塩の4種類の塩とホンビノス貝と鶏の出汁、白ワインで仕上げたものを使用。スープは鶏ベースが多いので一体感を増すためにもタレにも鶏出汁を入れています。

牛すじ飯
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錦牛の牛すじ煮込みとタレをご飯に乗せたすじ飯。アーリーレッド(紫玉ねぎ)と能代産白神ネギを贅沢に使用!トロトロの牛すじとシャキシャキのネギたちが口の中で踊る丼メニュー。

チャーシュー飯

こだわり抜いた桃豚肩ロースチャーシュー。直火焼きしているこのチャーシューは、オーダーを受けてからスライスするので非常にフレッシュな味わいを楽しめる!醤油ダレの味わいも芳醇で、肉そのものの味を引き立てるように仕上げられている。

ちなみに聖空さん、「ラーメンは常に進化しなければならない」とお話しされておりまして、日々、新規商品開発やリニューアルに多大な時間を割いているとのこと。メニュー切り替えが非常に早いようなので、あなたがこのラーメン屋に行った時、今紹介しているメニューと同じものが出てくるかどうかはわかりません…しかしこれもまた一興…。 

お店の所在地
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さて、それでは、そんな美味しいラーメンが食べられるkakuregaさんの所在地をご紹介します!それは…

実は、実はお店の場所は存在しないのです。「は?」と思った そこのあなた…大変申し訳ありませんが、こちらのお店、冒頭でご説明した通り、実は”訳アリ”なのです。

その訳
実はこちら、架空ラーメン屋「創作料理と拉麺 kakurega」という名称の通り、実在しないお店なのです。実は、先ほどの写真は聖空さん(聖空さんは実在しますのでご安心を)が趣味でつくられているラーメンで、あまりにもその度が過ぎたクオリティに感動した私が、今回取材を依頼させていただいたという訳なのです(ちなみに私は特別に食べさせていただきました)。

さて、ここで「詐欺だ!」「ふざけるな!」と怒る方もいるかもしれませんが、私はみなさんを怒らせるためにこの記事を書いた訳ではありません。ある理由があってこの記事を世に出させていただきました。

東北の未来を創造する芽を大切に
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私の地元秋田県では、東北地方の中でも特に少子高齢化が著しく進行しており、人口も著しく減少しているため、将来的に”地元が消滅するのではないか”という噂も聞こえるようになっている状況です。このような状況下で、秋田の若い世代は非常に貴重な存在となっています。しかしながら、若者の都会への人口流出が止まらないことが現実問題として存在しています。

原因は様々あり、就きたい職業の選択肢が少ない、給与水準が低いなども要因としてあるのですが、私がこれまで同世代、若い世代の方々と話をする中で、ある共通の言葉をよく耳にしました。それは、「自分が否定されることが嫌だったから」ということでした。

全員が全員そうではないのですが、田舎の狭い地域に住み続けていると、多様性を受け入れられなくなってしまい、田舎ならではの “偏見” を持ってしまう人が0ではなく、ネットなどで多くの情報を手に入れられるようになった若い人たちにとって、少し肩身の狭い場所になっていることがあるようです。

私個人の意見ですが、いろいろな人がいろいろな考えや意見を持っているのが社会であり、世の中なので、「これをやったらだめだ」ということはないと思います(犯罪や迷惑はだめですが)。もし、この記事を読んでいる方で、何かにチャレンジして、それを誰かに否定されたり、何か言われたりして悩んでいる方がいたら、ぜひ一度相談してほしいなと思います。私は、それはきっと、未来に繋がる大切な芽だと思いますよ。

話は戻ってラーメン
さて、話が長くなりましたが、聖空さんのチャレンジも私は全力で応援したいと思い、今回記事にさせていただきました。事業にできるかできないか、ラーメン屋を経営するのかしないのかとか、そういう難しい話はとりあえず置いておき、「若い人が何かにチャレンジしている」「自分の好きなことに一生懸命に取り組んでいる」ということ自体、大きな価値あることだと考えています。

これからこの ”東北の未来を創る芽” がどのように育っていくかは分かりません。途中で別の方向に向かうかもしれないし、全く逆の方向に進むかもしれません。でも、きっと今一生懸命取り組んでいることは、将来の何かに繋がるはずです。そんな聖空さんの活動をもっとたくさんの方に知ってほしい、応援したいという想いで、今回記事を書かせていただきました。

みなさんの近くにも、もしかしたら”芽”があるかもしれません。そんな未来を創る”芽”を大切にしていける大人になりたい…私はそう思います。

※聖空さんのInstagramアカウントがあります。みなさんぜひご覧ください!
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こちらからどうぞ ▶︎ https://www.instagram.com/noodle37373/ 

 

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